日々、ドナルド・キーンとともに

二冊の対談集

2023.5.1 / 

最近二冊の対談集が出版され、ともにドナルド・キーンとの対談が掲載されています。

一冊は、『原田マハ、アートの達人に会いにいく』(新潮社)です。対談があったのは2015年暮れでしたから私も取材にお付き合いしました。『源氏物語』のことや、翻訳のことなどお二人のお話しはとても楽しかったです。原田マハさんは対談の達人ですね、きっと。

二冊目は、『対談 日本の文学 素顔の文豪たち』(中公文庫)で、父は太宰治の未亡人・津島美知子さんと対談しています。1963年9月に虎ノ門の福田屋でのことです。この対談はとてもよくて私はどこかに再録して欲しいと思っていたのでとても嬉しいです。津島美知子さんのお話しになる太宰のこと、父が話す太宰の小説の普遍性や翻訳のことなど、ものすごく面白いです。太宰が浄瑠璃が好きで娘さん二人のお名前を、酒屋のお園とすし屋のお里からとって、園子と里子としたことに私は嬉しくなりました。折しも海外では今『人間失格』がものすごく売れているそうです。『人間失格』をNo Longer Humanと訳したドナルド・キーンの感性は素敵ですよね。

津島美知子さんは、太宰を翻訳してくれた父にとても感謝して、太宰の生原稿を下さいました。その原稿は現在、コロンビア大学の図書館と日本近代文学館に寄贈されています。

アメリカでなぜ『人間失格』ブーム? きっかけは伊藤潤二のコミカライズと「文豪ストレイドッグス」(抜粋) | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)