日々、ドナルド・キーンとともに

ドナルド・キーンの秘蔵アルバムより(アーサー・ウエーリ)

2024.11.4 / 

これからときどき、ドナルド・キーンの秘蔵アルバムよりご紹介したいと思います。

ただし、そのアルバムは、写真の上にビニールがかぶせてあるかなり以前の古いアルバムです。ビニールを無理にはがすと写真を痛める可能性がありますので、敢えてビニールの上から撮影しました。ですからお見苦しいかと思いますが、ご理解のほどよろしくお願い致します。

ドナルド・キーン自らが作成したアルバムですから、貴重です。

先ずは、よく使われている『源氏物語』の名訳者Arthur Waleyとドナルド・キーンの写真ですが、これがオリジナルの写真と思われます。時期はたぶんですが1948年か49年と思われます。

ドナルド・キーンの直筆で、

Arthur Waley

King’s college, Cambridge

とあります。

Arthur Waleyのカタカナ表記ですが、英語をカタカナにするには所詮無理がある、というのがドナルド・キーンの見解でした。

普通は、アーサー・ウエィリーと表記されることが多いようですが、晩年ドナルド・キーンは、アーサー・ウエーリと表記するようにと『ドナルド・キーン著作集』(新潮社)の編集者であった堤伸輔さんに指示しました。理由は、ウエーリ先生自身の発音に最も近いからというもので、『ドナルド・キーン著作集』第一巻にもその旨の記載があります。

その時にドナルド・キーンは、堤さんと私に、「ウエィリーという表記を見たら、これは誰のことですか?と先生は聞くでしょう。そして自分のことだと知って先生はびっくりするでしょう」と言っていました。

「leyをリーと伸ばすこともありません」とも言っていました。

さりとて、私としては従来のウエィリーの表記を否定するつもりもありません。