これからときどき、ドナルド・キーンの秘蔵アルバムよりご紹介したいと思います。
ただし、そのアルバムは、写真の上にビニールがかぶせてあるかなり以前の古いアルバムです。ビニールを無理にはがすと写真を痛める可能性がありますので、敢えてビニールの上から撮影しました。ですからお見苦しいかと思いますが、ご理解のほどよろしくお願い致します。
ドナルド・キーン自らが作成したアルバムですから、貴重です。
先ずは、よく使われている『源氏物語』の名訳者Arthur Waleyとドナルド・キーンの写真ですが、これがオリジナルの写真と思われます。時期はたぶんですが1948年か49年と思われます。
ドナルド・キーンの直筆で、
Arthur Waley
King’s college, Cambridge
とあります。
Arthur Waleyのカタカナ表記ですが、英語をカタカナにするには所詮無理がある、というのがドナルド・キーンの見解でした。
普通は、アーサー・ウエィリーと表記されることが多いようですが、晩年ドナルド・キーンは、アーサー・ウエーリと表記するようにと『ドナルド・キーン著作集』(新潮社)の編集者であった堤伸輔さんに指示しました。理由は、ウエーリ先生自身の発音に最も近いからというもので、『ドナルド・キーン著作集』第一巻にもその旨の記載があります。
その時にドナルド・キーンは、堤さんと私に、「ウエィリーという表記を見たら、これは誰のことですか?と先生は聞くでしょう。そして自分のことだと知って先生はびっくりするでしょう」と言っていました。
「leyをリーと伸ばすこともありません」とも言っていました。
さりとて、私としては従来のウエィリーの表記を否定するつもりもありません。