日々、ドナルド・キーンとともに

新刊『『ニューヨーク・タイムズ』のドナルド・キーン』(中央公論新社)について〈その3〉

2022.2.4 / 

新刊『『ニューヨーク・タイムズ』のドナルド・キーン』(中央公論新社)について〈その3〉

この本ができた経緯などは、ちょっとおもしろいのでいつかその資料などもそろえて説明したいと思います。

私が、中央公論新社のドナルド・キーンの担当者だった吉田大作さんに、「父のニューヨーク・タイムズの記事があるから本になりませんか」と提案したのですが、その時期は定かではありませんが一昨年の秋か暮頃だったと思います。

新刊の本が完成すると普通は編集者が著者(または権利継承者)に、「本ができましたよ!」と言って持って来て下さいます。今回の場合も、吉田大作さんが2月2日に我が家にご持参くださいました。吉田さんのおかげで内容は勿論のこと、装丁も大変よい本になりました。吉田さんは大変優れた編集者です。

今回吉田さんと話していて初めて知ったのですが、吉田さんが父を担当して下さったのは、2003年の『足利義政:日本美の発見』からだそうですから、もう今年で20年目ということになります。長い間とてもお世話になっていることになります。私が知っている範囲では、中央公論新社ではその都度何人かの編集者にお世話になっていますが、吉田さんに一番お世話になっていると思います。ただ中央公論新社の前身の中央公論社の編集者のこととなるとまた違ってきますのでいつかそのこともご紹介できたらと思います。

ちょっと残念なのは晩年医師の日野原重明先生と雑誌『中央公論』で、吉田さんのご提案で父は対談しました。おふたりの対談はおもしろかったので、吉田さんから「もう一度対談していただいて本にしましょう」というお話があり私も大変楽しみにしていました。しかしついに実現しませんでした。実に残念でした。

写真は、できたてのほやほやの『『ニューヨーク・タイムズ』のドナルド・キーン』(中央公論新社)を手にする吉田大作さんです。吉田さん、ありがとうございました。