ドナルド・キーンの名著と言っても差し支えないと思いますが、『明治天皇』(新潮社)が出版されたのは、2001年10月30日でした。雑誌『新潮45』に1995年1月号から2000年4月号まで全64回にわたって角地幸男訳で連載され単行本になりました。
ドナルド・キーンの著書はそう多く売れる本ではないですが、この『明治天皇』はドナルド・キーンの著書としては爆発的に売れたと言っても過言ではないと思います。2002年には毎日出版文化賞を受賞しました。
連載中の担当者は新潮社の田中比呂之さんという方でしたが、出版の時の担当者は上田恭弘さんでした。その上田さんが9月11日来られ貴重なものを、「これはずっとキーン先生からお預かりしていたものです」と言って丁寧にお返しくださいました。
それが写真で上田さんと私がふたりで手に持っているものです。父がコレクションした明治時代の錦絵で、『明治天皇』が出版されるときに見開きや口絵などに使用したものだそうです。
父の遺影に向かって上田さんと私とで報告したというわけです。
上田さん、ありがとうございました。