1月10日、勲三等旭日中綬章受章が決定される。 1月12日、『朝日新聞』に「ひと 勲三等旭日中綬章を受けたドナルド・キーン」掲載。 1月13日、『京都新聞』に「この人 日本文学は新鮮な発見 勲三等旭日中綬章を受章のドナルド・キーン」掲載。 1月14日、東京・外務省にて、内田宏外務省儀典長から勲三等旭日中綬章を受ける。 1月15日、『京都新聞』に「勲三等受章のキーン氏 文相と旧交温める」が掲載(「文相」とは永井道雄のこと)。『読売新聞』にも「政界メモ 「受章でキーン張しました」」が掲載される。 3月11月、10年ぶりにセント・ピーターズバーグに滞在し、親友・原芳男にはがきを送る。 5月13日、安部公房がニューヨークに到着。 5月15日、安部公房を小説家フィリップ・ロス(Philip Roth)に引き合わせる。 5月18日、安部公房とともに『シズエ・バンズィは死んだ』(Sizwe Banzi is Dead)を観劇。 5月21日、安部公房、小説家バーナード・マラマッド(Bernard Malamud)と夕食をともにする。 6月21日、文部省文明問題懇談会の専門委員となる(1976年3月31日まで)。 10月12日、「芭蕉祭」での講演に招かれ、初めて伊賀を訪れる。講演後、永井道雄と鍵屋の辻の茶屋を訪問。その後も伊賀を訪れる度、茶屋の店主・長家陽子に「伊賀にいて芭蕉を思わす秋の暮」、「さまざまのこと思い出す伊賀の秋」などの句を残す。 10月20-25日、「井澤元一・エチュード展 〈ドナルド・キーンの日本文学散歩〉さし絵」が京都・「ギャルリー宮脇」3階サロンにて開催。会期中に展覧会会場を訪れる。 12月20日、『日本文学散歩』朝日選書51(英文版:Some Japanese Portraits. Tokyo: Kodansha International、1978年)。 The Man Who Turned into a Stick(安部公房の戯曲『棒になった男』を)Tokyo: University of Tokyo Press より翻訳刊行。 オーティス・ケーリ編 War-Wasted Asia: Letters, 1945-46. Tokyo: Kodansha International 刊。(和訳版:『昨日の戦地から:米軍日本語将校が見た終戦直後のアジア』中央公論新社、2006年)。 文部省の文明問題懇親会専門委員。 ニューヨークで古田草一と出会う。
1976(昭和51)年 54歳
1月6日、大日本茶道学会の初釜に招かれる。 1月10-17日に開催された井澤元一の個展「城」の案内状に「井沢元一氏の「城」の個展によせて」を寄稿。 1月、「ドナルド・キーンの音盤風刺(姿)花伝」を『レコード芸術』に連載(12月まで、中矢一義訳)。 3月30日、石川近代文学館で行われた講演「わが愛する鏡花」(日時:1974年12月4日)の内容を収録した『鏡花研究』2号(石川近代文学館)が刊行される。 4月2日、ニューヨークに滞在。原芳男に手紙を書く。 4月11日、ニューヨーク(Brookside Estate in Rye)にて、詩人・教授・デザイナーの古田草一夫妻と会う(写真あり)。 6月12日、小学館の『日本古典文学全集』刊行記念パーティーに、サイデンステッカーとともに出席。 7月30日、17:30両津港着の船で佐渡を訪れる。真野町松雲荘に宿泊。新町大神宮で人形芝居を見学する。佐渡旅行中は、中矢一義、今井誠一、富士川義之が同行する。 7月31日、午前に真野御陵、国分寺、妙宣寺、長谷寺を見学し、午後には新穂村潟上、本間家能舞台で能楽を見学する。真野町松雲荘に宿泊。 8月1日、午前に山本修之助宅を訪問し、小木町小比叡山蓮華峰寺、宿根木博物館を見学する。午後には、新穂村塚原山根本寺、新穂村鬼太鼓、金井町黒木御所、正法寺を見学し、北條道益宅を訪問。金井町湯之沢旅館宿泊。 8月2日、午前に佐渡博物館、相川鉱山遺跡を見学し、陶工長浜数右衛門窯を訪問。午後には、新穂村潟上本間家能舞台、ならびに能衣装を見学する。相川町清新亭宿泊。 8月3日、午前に佐和田町中央会館で「日本文化について」を講演(主催:常盤会佐渡支部)。12:30両津港発の船で離島。 8月10日、神田・エヴァンタイユで安部公房と対談。対談内容は、『レコード芸術』(1976年10月号)の「ドナルド・キーンの音盤風刺(姿)花伝 連載第十回 対談 安部公房氏と音楽を語る」に掲載。 9月6日-10日、NHKテレビ:女性手帳で「日本文学とわたし」を語る。 大阪、金沢、仙台、札幌での日米交流委員会主催、日米フォーラムに出席、日米相互理解について講演。 10月、World Within Walls: Japanese Literature of the Pre-Modern Era, 1600-1867(『日本文学史:近世篇』)、New York: Holt, Rinehart and Winston 刊(和訳版:『日本文学史:近世篇』上下巻、徳岡孝夫訳、中央公論社、1976年12月20日・1977年7月10日)。和訳版『日本文学史:近世篇』のリーフレット(1976年?)には、「著者のことば」の他、大岡信「すぐれた学者の通史の魅力」、山崎正和「ひとつの文学的な世界 キーン氏の日本文学史を推す」が掲載された。 10月24日、新聞広告シリーズ「書きおろし 酒の寓話 Suntory Fables of Drinking」(4)に、「イソップを探す寓話」が掲載される。 12月末日、佐伯彰一宛に送ったはずの『日本文学史:近世篇』(上巻)があやまって大岡昇平のもとに届く。「冠省 間違って小生のところへ来ましたので転送します 十二月末日」との手紙付で大岡から佐伯に書籍が送られる。