3月8日(土)は、父ドナルド・キーンが2012年3月8日に日本国籍を取得した記念の日でしたが、私の浄瑠璃の会が開催されました。
私事、越後角太夫(えちごかくたゆう:これは私が古浄瑠璃を弾き語りする時の、ドナルド・キーンが命名した芸名なんです)の三味線弾き語りによる演奏会でした。
場所は旧古河庭園内の大谷美術館ですが、あの明治時代の英国人建築家ジョサイア・コンドルの代表建築で、その二階の和室で行われました。父もお世話になった大谷美術館の理事長の大谷光陽子様のご好意により邦楽には相応しい雰囲気の会場で、音響も、いわゆる「こもり」もほどよくて、全体としてとても良かったです。
2時半から約60名のお客さまでしたが、二倍の倍率を勝ち抜いた運のよい方たちでいらっしゃいました。
翻訳者の角地幸男さんの手際よい分かり易い司会により、私も浄瑠璃の作曲や演奏について解説したりいたしました。三味線についても簡単な説明をさせていただきました。
私にとって本格的な演奏会はたぶん10年ぶりくらいでしたから、稽古の段階からかなり必死で頑張りました。父の希望というか遺言でもありましたから、これからも是非続けていきたいと思っています。
今回演奏した『おくのほそ道』も『弘知法印御伝記』三段目も父の勧めによる作曲と演奏でした。『おくのほそ道』は冒頭の18分で雲厳寺まで、『弘知法印御伝記』は三段目のみで35分間でした。三段目はこの浄瑠璃の中では一番変化に富む場面だと思います。幽霊が出たり、弘法大師も出たり、美女が魔王に変身したりします。
冒頭で、ドナルド・キーンの愛弟子、ジャニーン・バイチマン先生がご挨拶して下さりとても嬉しく思いました。
ドナルド・キーンが登場する映像も10分ほどありました。
写真は財団スタッフの大橋信夫さんと、新潟から手伝いと口上に駆けつけてくださった私の弟子、越後角壽太夫によるものです。
大橋さんも角壽太夫もそれぞれの仕事をしながらの撮影でしたので、あまりよい写真でなくてすみません。
最期の写真は、2012年3月8日に国籍取得の報を聞き万歳しているところです。
The Japan Newsに掲載されました。

Exif_JPEG_PICTURE