財団からのお知らせ

越後角太夫(キーン誠己)の独演会(3月8日)

2025.1.7 / 

たぶん10年ぶりくらいになると思いますが久しぶりに私、越後角太夫(キーン誠己)の浄瑠璃の独演会を、ドナルド・キーン記念財団レクチャーシリーズ三回目として開催いたします。

この日、3月8日は奇しくもドナルド・キーンが日本国籍を取得した日に当たります。

私(キーン誠己)はふたつの芸名があります。義太夫節を演奏する場合は文楽時代からの芸名・鶴澤淺造(つるさわあさぞう)で、古浄瑠璃を演奏する場合は越後角太夫(えちごかくたゆう)です。越後角太夫はドナルド・キーンによる命名です。

今回の演奏は、古浄瑠璃の弾語りですので越後角太夫の芸名を使います。

父ドナルド・キーンの生前には何回か独演会を催しました。ドナルド・キーンが先ず30分ほど講演し、その後で私が演奏するというとても贅沢でもったいない演奏会でした。今思っても見も心も震えるほどです。

今回は、文芸評論家でドナルド・キーンの翻訳者でもあり、ドナルド・キーンと親しかった角地幸男氏の司会で私が若干の解説も加えながら皆様にお楽しみいただきたいと思います。

演奏する曲は、ドナルド・キーンの勧めによって没後しばらくしてから作曲し演奏を始めた『おくのほそ道』です。冒頭の15分程度をお聴きいただきます。全文を演奏するとたぶん少なくとも1時間半以上はかかるでしょう。2時間近くになるかもしれません。

もうひとつの曲は、早稲田大学の鳥越文藏先生により大英博物館で発見され、やはりドナルド・キーンの提案で作曲し人形浄瑠璃(佐渡の文弥人形の名手・西橋八郎兵衛さんとともに)としても300年ぶりに2009年6月に柏崎で復活した『弘知法印御伝記』の三段目を弾き語りいたします。『弘知法印御伝記』は全段演奏すると3時間近くかかりますが、三段目だけですから25分くらいです。

『おくのほそ道』と『弘知法印御伝記』の共通点は時代がほぼ同じだということです。そういうことも少しだけ念頭に入れて作曲しましたし演奏もいたします。

久しぶりの演奏会ですので、皆様に少しでも楽しんでいただけるよう一生懸命稽古に励んでいます。どうかよろしくお願い致します。

チラシをご覧の上お申し込みいただけたら大変嬉しく存じます。